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和製アメリカン 2005/07/29
 掲示板のほうを覗くと,私と相棒に関する話題が求められているようなので,貯まっているネタリストの順番を繰り上げて 先にこの話題を放出させていただきます.tkさんや三郎さん.どうもです.これからもよろしくお願いいたします.

 今回は前回の三原則のうち,「和」というものに 注目して,私がこよなく愛してやまない相棒こと「YAMAHA Virago250」について 述べたいと思うのです.
(解説:相棒とは:その昔,タクシーなどなかった時代,目的地に行くには徒歩か,馬くらいしか なかった時代に,座っているだけで前進することができる「駕籠屋(かごや)」がもてはやされました.少なくとも2人以上の人間が棒を担いで 人間が乗る駕籠を持ち上げなくてはならなかったため,また,2人の息を合わせないと乗客に多大な揺れを感じさせてしまうために, 駕籠を担ぐ相方の人間をお互いに相棒と呼び,自分一人ではことを成し遂げることができない大切な仲間として扱ったそうです.以来, 相棒とは切っても切れないパートナーを指す言葉として定着しました.)




 日本の4大オートバイメーカー「HONDA」「SUZUKI」「Kawasaki」「YAMAHA」.

 日本のバイクメーカーって全部「人の名前が社名」なんだね・・・
(ヤマハは人名でなさそうだが,実は創業者である山葉寅楠(やまは とらくす)氏の名字なのです.)



 本田技術研究所(浜松)1946年→
本田技研工業株式会社 (歴史)
 創始者本田宗一郎

 鈴木式織機株式会社(浜松)1920年→スズキ株式会社 (歴史)
 創始者鈴木道雄

 川崎築地造船所(築地)1878年→川崎重工 (株式会社カワサキモータースジャパン)(明石市) (歴史)
 創始者川崎正蔵

 合資会社山葉風琴製造所(浜松)1888年→日本楽器製造株式会社→ヤマハ発動機株式会社(浜松)1955年 (歴史)
 創始者山葉寅楠



 川崎は財閥で川崎造船所初代社長松方幸次郎の名を取って松方コンツェルンとも川崎コンツェルンとも呼ばれているようだが, 山葉は「裸一貫観」が強い.(本田,鈴木は置いておく.)

 医療器械技術者の山葉(当時35歳)は浜松尋常小学校(現,市立元城小)の校長からオルガンの修理を頼まれて 仕方なく直す.そこで「オルガンの国産化は国益につながる.」と見切った男はその翌年に会社を興したのだった.


 心意気が粋ってもんだ!「国益につながる」から会社を興すなんて惚れたぜ!ヤマハさん!!





 その後,浜松はピアノ・オルガンの町として日本にその名を轟かすようになったのです.



 っていうと,何かい? その「心意気」と「楽器としての製品」のマインドを継承しているのが 他でもないヤマハ発動機と言うことではないか!

 アクセルを蒸かしたときの官能的なエグゾーストサウンドが,和音のように共鳴して音階を変化させながら高まり, 空気乗り手の高揚感を同時に打ち振るわすのには,そういう理由があったのか!!


 山葉寅楠氏は1916に亡くなっておられるのだから1955年創業のヤマハ発動機とあんま関係ないじゃん!!
 という突っ込みは置いといて・・




 ともかく,日本4強のバイクメーカーに育ち上がるには,自分の名前を社名にするくらいの リーダーシップ,つまり,賞賛も非難も利益も損害も権利も責任も全部一人で受けて立つ!!!という気概にあふれて創業したような 会社でなくてはならなさそうだ.と言うことが4/4というこのデータから見て取れる.



 その中で,発動機からピアノ,楽器,テニスラケット,スポーツ用品と幅広く手がける「特効野郎Aチーム」 でいうとフェイスマンのような存在がこのヤマハである.
 そのヤマハが送り出すアメリカンバイクタイプの自動二輪XV250ことVirago250(ビラーゴ).

 排気量250cc,空冷60度Vツイン,前輪ディスク後輪ドラムブレーキ,
 和製アメリカンバイク.

Virago250の雄姿Virago250の雄姿


 他国のよいところを素直に受け入れ,改良し,独自のものを作って自らの文化に取り込んでいく.
 日本人のそんなところがとてもよく現れている気がする意味でも大好きなバイクだ.

 1977年にデビューしたXSシリーズ通称Special.いろんな意味でYAMAHAモーターサイクルの基礎となった.  その後継の一つとして1982年に出たVツインSpecial.1984それを一新してVirago400が,  1988年にVirago250がデビューした.  そして,1995年デビューのDragStar(ドラッグスター)へとその命の息吹は継承されていったのです.  クルーザーとしてのドラッグスターへのエボリューション(進化)の過程.

 それが,Virago(ビラーゴ)だったのです!!




この私と苦楽を共にするこのバイクの魅力は,

1.ほかの和製アメリカンバイクと見比べても抜きに出るエンジン周りの造形美
2.かなり低速より設定された5速ギア.
3.知らない人が見ると「大型車ですか?」と聞かれるアメリカンならではのスケール感
4.にもかかわらず,スイスイすり抜けできる細さと軽快さ
  (バイクのメリットは渋滞でも信号の前まで行けること!)
5.4気筒の上品なエンジン音にはない空冷V型2気筒のサウンド
  (そんなに低い音ではないが,洗濯機のような4気筒よりイイ!)
6.カーブでバンクさせると必ず火花を散らす低位置ペダル.
  (バンクとは,車体を傾けて走行すること)
7.アメリカンを臭わせるシーシーバーの標準装備.
  (シーシーバーとは,シートの最後部にある背もたれのようなところ)
8.ハンドルロックが一般と逆な反骨精神
  (通常は前輪を左に傾けるがビラーゴは右)
9.よく見るとつながっていないリア方面から伸びるダミーエグゾーストパイプ.
  (見栄え重視のための飾り)
10.転けたときにねじ山がねじ切れないための右バックミラー逆ねじ使用(YAMAHAの特徴)
  (憎いところまで心配りがある反面ほかの部品で代用できない.)
11.昼間でもヘッドライト点灯が義務づけられてからというもの,
  時速60km走行でも,じわじわと減っていくバッテリー電気容量
12.乗車期間の9割は全く使用されなかったセルモーター
  (スイッチを押すと自動でエンジンが掛かる装置.え?当たり前?)
13.エンジンオイル漏れでも乾式クラッチとして作動し,急激なトルクを伝え,
  アメリカンなのにウイリーができる剛健なクラッチ.
  (急発進を繰り返すと,チェーンが伸びて外れ易くなりますよ.)
14.チェーンがはずれると必ず切断されるような配置となっているエンジンからの配線.
  (そればかりか,チェーンが外れると後輪がロックされるので,前にも後ろにも動かなくなって,最悪死にます.)
15.エアクリーナーが消滅していても燃費を悪化させつつ走り続けるタフなキャブレーター.
  (キャブは一度オーバーホールしたなぁ.)
16.熱くなってくると全く電気を生産してくれないレギュレータ周り.
  (レギュレーターを交換したら直るという保証がないので交換しない.)
17.空冷のため夏場に低速走行を強いられると,異様に熱くなるエンジン.
  (真夏は日陰でいっしょに休みました.)
18.バッテリーが弱くなって火が飛ばないときに,生ガス出しまくって,
  バックファイアーで周囲を威嚇するのマフラー.
  (本来バックファイアーとは吸気系(キャブレーターの方)に火炎が戻ることを言い,
   マフラーの外付近で燃料が爆発する現象はアフターファイアーと呼ぶ.ものすごい音がする.
   almaさんの指導により訂正.でもバックファイアーも広く誤用されているようだし強そうなので使用・・)

19.後輪ドラムブレーキ内のゴムダンパーが熔けて,一度使用すると解除不能なブレーキ.
  (エンジンブレーキだけがたよりだった.)
20.雨の日の度にショートし,くっついてはいけないところが,熔けて結合される配線部.
  (おかげでビニールテープの携行は欠かせない.)
21.ウインカーを出さずに急に左折しだした乗用車にひかれてフロントフォークを踏まれても,
  ガクガク言いながらなんとか走り続けるタフさ.
  (走行していて前輪がクネクネぶれる様子がよく見える.)
22.やはり,なによりも,愛すべきかわいらしさ!
  (またがる度に,ぴかぴかに磨き上げるがごとく拭かせて頂いた.)




 この他にも,数々の思い出をこの相棒とともに共有してきた.それらの記憶が,私と相棒を強く結びつける.




 私はこのバイクを愛した.バイクを「愛する」と言うことの意味も教わった.  私が教わったバイクを愛するということの意味は...





バイクにいつも乗せて頂くだけではなく,たまには人間の方がその動力となり, バイクを10km単位で移動させるという相互依存.これが愛し合うと言うことなのだ!


 だてに,「口うるさい女」の異名は取っていない.(Virago(ビラーゴ)とは英語で口うるさい女,男勝りの女という意味.)



「あなた! いっつも私に動かせてないで,たまにはあなたが動かしてよ!!」と リアルな声が聞こえてきそうである.





 そんな相棒との出来事を今回は語っていきたい・・・・



 て,そんな相棒こと,YAMAHA Virago250 というアメリカンバイクとの想い出を語る前に,バイクの一般的な種類について触れてみたい.

 「アメリカンスタイルのバイク」のことを「アメリカン」と呼び,バイクのジャンルの中で一つのカテゴリーを形成している.

 スーパーバイク:パワーと速さを追求し,空力抵抗を考慮したボディーが特徴.一昔前の人はレーシングマシンの模造品という意味からレーサーレプリカなどとも呼ぶ.

 ネイキッド:裸という意味で,バイクに空力抵抗軽減のカールなどがあまり付いていなく,バイク本来の姿という意味.

 クラシック:古き良き時代を彷彿させるデザインとメカニズムのシンプル性を特徴とする.

 オフロード:アスファルトの道路以外を走行することを前提に作られたバイク.比較的車重は軽く, サスペンション(足回り)が強化されている.スパイクタイヤが標準.

 ツアラー:エレガントに行動を走行し,長距離を旅するのに適したバイク.荷物を入れるスペースや車体の大きさなどにアドバンテージがある.

 アメリカン:ハーレーに代表されるようなV型エンジンの搭載が一般的で低回転高トルクが売り.見た目重視のため,装飾品がごてごて付いており, 車体重はとても重い.アメリカン以外のバイクは腰の下あたりにクラッチレバーが付いているが,大きく足を前方に投げ出しふんぞり返るように乗車する 仕様になっているのも特徴.また,多くのバイクは燃費とパワーの向上,騒音や振動の除去を旨としているのに対し,アメリカンは排気音と振動の 官能性を追求している.車体を大きくして威圧感をだし,ライダーの優越感・満足感・被見感(人に見られる事による快感)の増幅を重視している. 従って,バイクの四輪車に対するアドバンテージである「追い抜き」がすこぶるしにくいものが多い.



 その他,細分化すればまだまだバイクのカテゴリーはあるが,ザクッと大別するとこのような感じだ.ちなみにギア操作をライダーが行わない タイプのバイクをスクーターと呼び,最近はビックス(ビックスクーター)というジャンルが人気を集めているが,あんな物は「バイクとは呼ばない!」という 一部の方々の意見を尊重し,ここではカテゴリー化しない.









ハルクホーガン氏のなんですか?シーン  アメリカンスタイルのバイクを乗る最大の魅力は,前述のように足を前に投げ出して,ガニ股チックに,そして,ふんぞり返ってハンドルを握るあのスタイルにある.

 右図に在らせられるハルク・ホーガン氏の様なムキムキの筋肉と, (ひげ). 更に,その筋肉を見せびらかすようなタンクトップサングラスがそろえば,いうことはもはや何もない.





 さて・・・ また前置きが長くなったが,


 あれは・・・ある昼下がりの出来事であった.

 自称ハルク・ホーガンを気取りながらふんぞり返って,アメリカンバイクカテゴリーの末席を汚す 我が相棒 YAMAHA Virago250に またがる.



 夏,


 タンクトップ,


 心地よい風,


 ほどよく空いている南東京の動脈 国道246号.


 その日は少しでも夏の風を満喫するために,
フルフェイスではなく頭だけを防護するヘルメットを装着していた.

 顔面剥き出しのバイク乗りなら必ず経験したことがあるのが,ダンプトラック後方の砂塵である.

 ダンプカーはほんの少量ではあるものの,走りながら砂塵をまき散らしている.フロントガラスに護られる乗用車なら 気にすることは一切無いが,目んたま剥き出しのバイクでは時速60km/hでも,ものすごい痛さで顔面をチクチク攻撃する.

 思いっきり目を細め,睫毛(まつげ)で眼球を防護しなければやってられない.

 そして,車線変更して難を逃れるか,追い越して安全地帯に出る必要がある.


 この日も,顔面にものすごい砂嵐のインパクト(直撃)を受けた.


 アイタタタ・・・


 顔面にカナブンの直撃を受けた時ほどの貫徹能力はなかったものの, 顔中のツボを同時に針で刺激されるくらいの衝撃が突然襲いかかる.


 なぁ〜に.これしきのことでへこたれてたまるか・・

 ハルク・ホーガンの霊に笑われちまうってもんよッ!

 そう思い,前方のトラックを回避するためにそれらしき車を探すが,見あたらない.


 前方には乗用車が走っているだけである.

 ハテ? さっきの衝撃は何だったかな??


 顔を触ってみると・・なにやら粉のような物が付着している.


 黒っぽい粉だ.


 ハテ???


 そして前方の乗用車の運転席の窓に目をやると・・・・




ガアッデム!

 何と灰皿をコツコツと窓枠へ当てているではないきゃ!

 中身はすっかり綺麗になって,運転手のルンルン鼻歌が聞こえてきそうな感じである!!




ファッキン!


 アクセルフルスロットル!

 運転手にを入れるため,怒りのヴォルテージを高めつつ運転席の窓脇へ接近する!!

 ウオオォ!! 俺も相棒もお怒りだぜ!! 何より俺のこの街をテメーのキタネエ吸い殻で汚(けが)すなんて 許せん!!!


 運転席脇から「オイ!」と因縁付けようとした瞬間



!?





富の象徴ベンツマーク
富の象徴ベンツマーク
ドイツ メルセデス・ベンツのシンボル
 確認されたベンツマーク(左図)と剃り込みパンチパーマなお兄さん約2名


 顔を引きつらせながら,「今日は良い天気だなぁ・・」などと聞こえもしないのに呟いて,ものすごい勢いで減速していくアメリカンバイク・・・

 いったいどこへ行ってしまったんだ?
 ハルク・ホーガンよ・・

 そのまま彼らの視界からフェードアウトしていく哀れなバイクを目の当たりにした悲しい事件でした・・・





 そんなエピソードを残してくれた私の相棒だったが,栃木県 川俣温泉ツーリングに出かけた際,行きの途中までは調子よく吹けていたにもかかわらず, ツーリング仲間と合流した頃から2気筒のうち1気筒死んで,MAX時速30kmとなってしまった.スパークプラグを削ったり応急処置はしてみるものの 息は吹き返さず,ツーリングのみなさんにとてつもない迷惑を掛けることとなってしまった.日光の いろは坂(ワインディングの名所)の登りでは最高速度が時速20km/hへと落ち込み, みなさんを頂上で待またせるし,一回エンジンが止まると,200mくらい押さないと回らないし・・ということで日頃のメンテナンスの重要性を痛く感じました.

 複合的な故障(配線が溶けて短絡,キャブと吸気バルブの間のチューブが切れていて空気漏れ,レギュレーター死亡で充電0,エアクリーナー消滅)だったのですが, なんとか原付並の速度とシボレー コルベット5.7リッターエンジン並の燃料消費で帰り着くことができました.あの時の皆様.どうもありがとうございました.

 バイク屋に行き,部品交換の必要なリストを作ってもらうと・・・フレーム以外ほとんど交換??みたいで,部品代だけで30万円(車体購入価格より高い!)と言われ, もはやこれまで.とても悲しくなりましたが,公道を走る乗り物の安全性という観点から廃車を決意致しました.



 ありがとう.Virago.

 ありがとう.相棒.

 初代 マイバイクはいつまで経っても君だよ.( ´∀`)


Virago250の雄姿Virago250の雄姿


2005年夏 YAMAHA VIRAGO 250 苦楽を共にした小生の相棒 永眠














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