天上天下唯我ドキュソん 殿堂入りおすすめネタ

ョックとは、当初自分の予測していた結果と実際に起こった現実が大幅に食い違っていたときに発生する 自己の精神内の動揺である。

 人は、ある行動を取る時に、意識的もしくは無意識にその行動から得られる結果を予測する。  そして、予想しなかった結果が得られたときに、人は喜び、もしくは落胆する。その度合いが 激しいとき、+の結果であれば感激し、−の結果であればショックを受ける。

 例えば、物事を悪い方へ悪い方へと考えるいわいるネガティブな思考をする人は、これから起こる 現実に対して、予めマイナスの結果を予測して、実際にマイナスの結果を得たときに、 より大きなショックを受けないようにする自己防衛線を張っていると言える。 もし、普通の結果を 得たならば、予想よりも良い結果こととなり、心は安心する。悪い結果の時は「ああ。やっぱり。」と 思うことができ、劇的なショックを受けなくてすむ。しかし、結果が悪いことには変わりないので、 どのみち、精神的に苦痛を受ける。



 そして、「男」達にとって、他愛もない、とるに足らないようなことでショックを受けるということは 自分の精神的弱さを認めることとなり、それはすなわち 敗北なのである!





 さて、今日は子供の日なので、そんな心の浮き沈みについて考えてみたい。  (子供の日といったいどんな関係が?)



 今日も、行きつけのファミリーレストラン(ファミレス)に出かける。

 ファミレスではほとんど必ずドリンクバーを 頼むのが私のパターンだ。ジュース一杯120円のご時世、飲み放題で、種類も選べて、コーヒーも アメリカン・エスプレッソ・カプチーノ・カフェラテ等々、様々に用意されていて200円というのは やはりお買い得感が高い。

 また、時にファミレスを喫茶店代わりに利用し、6〜8時間居座ることもある私にとって、  ドリンクバーの食器は「空になっても 店員さんに下げられない食器」としても非常に重要な価値がある。 (混んできたら、ちゃんとまた食べ物を頼みますよ。)

 24時間営業のファミレスでノートパソコンと共に、思いにふける。 夜は私にとってアイディアの掘り出し時である。家族客や恋人達のテーブルに囲まれ、 一人、仕事のアイディアを書きつづったり、まとめあげたり、プログラムを打ち込んだりする 非常に濃密な時間だ。私には「大衆に埋没し、黙々と打ち込む」というスタイルが合っているらしい。

 そこで、子供の日企画として、練られた企画。

それが・・・・











ファミレス
24時間耐久レース



 なぜ、子供の日だからといってそんなことをしなくてはならないのかという問題は、 放置しておく。

 ルールは簡単だ。24時間そこに座っていればよい。

 しかし、寝てはいけない。ファミレスでドリンクバー1つの注文で 朝まで眠っているやつをよく見かけるが、それは迷惑以外の何者でもない。

 たとえ、24時間そこにいようが、客単価として一般人と同等の消費をしていて、 食後の時間を正規に楽しみ、混雑時に私のせいで待っているお客さんがいないのでなければならない。 それならば、普通の客と呼べるはずだ。

 

そして・・戦いは始まった。




 最初は普通に注文し普通に食べる。スパゲティとサラダとドリンクバーだ。  食べ物が無くなって空になったお皿は店員さんにより回収されていった。ドリンクバーの器だけがテーブルに残る。

 食後のコーヒーとジュースを楽しみながら、ノートパソコンを打ち込み、思いを綴る。  2時間が経過した。これは 別に普通のことである。 そうこうしているうちに、店内のお客さんの顔ぶれも一新し、私がこの店内での最古の客となったようだ。

 まだまだ、勝負はこれから。

 とりあえず、中継ぎのジャブとして、唐揚げを一皿追加注文する。

 3分ほどで唐揚げは到着し、レモンを振って食す。ジューシーな味わいに、消費速度が増すが、 お皿が空になっては店員さんに下げられてしまい、端から見たら、「ドリンクバーのみで粘り続ける質の悪い客」 ということになってしまう。ここは辛抱せねば・・・ 最後のひとかけらの鶏肉にフォークを刺したまま、いかにも食べかけ を装って放置する。ドリンクバーコーヒーお変わりでその場をつなぐ。

 最後の唐揚げに手をつけないようにがんばって2時間。周りを見渡すと・・・







!!



 この視線は?!



 その視線は店長であった。早くも、(まだ4時間なのに) 私をマークする つもりか?!

 その店にはよく行くので私も、店長も、それぞれにお互いの顔はチェックしていた。

 「今日は負けん!!」

 私の中で炎が揺らめく。様々なヴァージョンのコーヒーをお代わりしてその場をしのいだ。

 そしてもう1時間が経とうとする頃。とうとうパソコンのバッテリーがピーコンピーコン警告を 出し始めていた。 6時間弱で弱音を吐くとは戯け物め! 彼は「もはやここまで・・・」と言い残して沈黙した。
 ここからはパソコンではなく文庫本に切り替えるか・・・・

 あたりを見回すと、かなり客が多い。夕飯のかき入れ時に突入したようだ!

 こうしてはおれない。私も何か注文しなくては、「何も食べていない客(私)のためにこれから何かを 食べるお客さんが待たされる」ことになる。それは許されないことだ。

 そして私は、ハンバーグセットを追加することとなった。

 速く食べてしまうと、お皿が空になってしまうので、粘るのには気まずい。よって、ゆっくりと食す。



 そして、たぶん7杯目となるコーヒーを注ぎに、ドリンクコーナーへと出かけた。
 本日2回目のカプチーノを選択する。まず、カラメル味のガムシロップを少々カップに注ぎ、 定位置にカップをセットしてボタンを押す。ガリガリガリガリとなにやら豆が引かれる音がし、 蒸気と共に泡がカップの半分まで注がれる。濃いめのコーヒーがその上からなにやら文字でも描くかのように 注がれる。クリーミーな泡とコーヒーの香りがマッチするカプチーノのできあがりだ。 いつもよりほのかにできの良さげなカプチーノにやや満足し、席に戻る。

 「やるじゃんネフカフェー」などと小声で叫んでみながら、ネスカフェのCMのまねもしてみる。

 濃厚な味わいと泡の食感のハーモニーがたまらない。

 半分くらい飲んだところで、  とあることに気付く・・・







白い泡の中から黒いものが・・・



 それは、一瞬、あれ に見えたが、まさかそんなはずはない。と思い直し、読んでいた本に目をやった。


 しかし、私の網膜には黒いあれ の姿が鮮明に残っている。 まさかぁな。目の錯覚に違いない。そう自分に言い聞かしながらも、 おそるおそる現実へと目をやった。





嗚呼。
 間違いない。 錯覚じゃない。あれだ。





さっきまでうまいうまいと飲んでいた カプチーノの泡の中からその黒い姿を現したのは







紛れもない
ハエであった。
(・_・、)




私が、「ネフカフェー」などと一人でCMのまねをしていた時から

彼は既に入り込んでおられたに違いない。
泡の蒸気で彼はもう死んでいるようだ。

蒸し焼き?

薫製?

濃厚なハーモニーの隠し味はこれ?!

 えも言えぬ脱力感と何とも言えない感情が私を襲う。

 当たり前(コーヒーしか入っていない)だと思っていたことと、 異なった現実(彼が入浴していたということ) のギャップに私はショックを受けた。

 必死に、「この程度のことでショックを受けるとはまだまだ青いな。」と自分を叱責するが、  ショックを受けてしまったという事実は消えない・・・・。




私:「店長!!店長を呼べ!!これはいったいどういうことかね!!」

店員:「どうなさいましたお客様。」

私:「ええい!!アルバイトでは話にならん。店長を呼べ!!」

私:「この店では客にハエのボイルを飲食させる気か!!」

 まだ季節的に早過ぎるアロハシャツを着、グラサンを掛けた輩(やから) (6時間くらい粘っている客)が、 店長にいちゃもんをつける。

私:「おうおう! どう落とし前つけてくれるんだぁ!!」



 ただならぬ雰囲気を感じた周りの席のおばさん達は口々にこう言っている。



おばさんA:
 「やーねー。あの人。ずっと居座っていたと思ったら、ドリンクバーのコーヒーに 自分でハエを入れて店長を脅しているみたいよ。」

おばさんB:
 「らーめん屋でどんぶりにゴキブリを入れていちゃもんをつける手口と同じだわ。やーねー。」

おばさんC:
 「あらやだ。金を出せとか言ってるわよ。ヤクザね。あれは。」





っなどとシミュレーションを行ってみる。(2.8秒)



6時間も粘っているという罪悪感が、良いシミュレーション結果を導かない。



 いったいどうやって、この事実を受け止めるべきか・・・

 納得のいく理由をいろいろ考えてみる・・・・







● 店長が私のために入れてくれた隠し味?

  いや。そんなはずはない。いくら私が長居の常連だとしても、たかが6時間程度でそんな大技 を使用するはずはない。


● コーヒーメーカーの中でハエが育ってる?

  手入れの行き届いていない機械の中は相当汚いというのは周知の事実だ。しかし、中で蛆(うじ)がわいているほど 汚いのか? それはかなりの問題だぞ? その図を頭の中で想像し、やや青ざめる。
 コーヒーが出てくる穴の大きさを確認しに行き、この線が無いことを知って一安心。


● ハエに見せかけた黒砂糖であった。

  どう見ても足が6本ある。しかも、黒砂糖はない。(0.1秒)





 これはきっと、

● 24時間耐久レースなどという愚かなことを考えた私への、背後霊からのメッセージに 違いない。


 そのように理解した。(おいおい。いったいどんな思考回路からそのような答えが得られるんだ!ゴラ。)



 背後霊がこれから起こるより恐ろしい事実を、事前に回避するために私に宛てたメッセージである。 と。無理矢理解釈した。そして、ミョーに納得する。(するなよ。(゚д゚ ) しかし、フィーリングは重要だ。)

 カプチーノの泡に埋もれる彼を取りだし、
なぜか、
「食べ物を残してはいけません。」
という小学校の 教えを思い出して、
(今、思い出すなよ!)
2匹目が浴槽にいないかを確認しながら、ゆっくりと飲み干した。


 その程度のことで、ショックを受けてしまった私の心は、24時間耐久の以前に既に敗北していた。 強がって見ても 敗北は敗北であった。

 店長が「おやっ?もう帰るのかね?根性なしめ。」というような視線で私の会計をレジする。  私は敗北者として店を後にした。  リベンジを誓って・・・






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