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いろんな意味で爆走 2002/02/03

て、このほど、バイクで千葉から鳥取へ行く機会がありました。(またかよ)

例によって私と相棒は軽快に高速道路を爆走する。

 日の出ている内は楽しいバイクの旅も、
日が落ちてからは地獄の耐寒訓練になります。
手袋を二枚重ねにし、革ジャンを着てどんなに厚着をしようとも、
凍てつく空気はヘルメットの隙間から進入してくる。

スロットルを動かす程度にしか運動をすることの許されない私は 全身の筋肉を硬直させてアイソメトリック運動をしながら その寒さに耐える。

 サービスエリア毎の休憩所にある無料の玄米茶だけが冷え切った私の心と体を温めます。

サービスエリアを出発するたびに「誰か私を引き留めてくれー」と思いつつも自分に鞭を撃ちながら前進開始。 名神高速を抜けて、中国道に入ったあたりのことであったろうか? 相棒の叫び声が不安定になる。 「どうした?!相棒!お腹の具合が良くないのかい?」



回転数が上がったり下がったり。






こここっこのか・ん・し・ょ・くは!!
ガス切れ?!



 まだ大丈夫だろうと思いながらなかなか看板すら現れないサービスエリアに不安を感じながらの出来事であった。


そして、MAX10Lのガゾリンタンクの中は、戦時中の上野動物園、雌の象の”花子”のような状態になっていた。 くー。またやってしまったか・・・


 クラッチを切ってマシンは惰性で進む。
行けるところまで行き、距離を稼ぐ。


「今度は君ががんばる番だよ。」
そう言って相棒は上り坂の手前で沈黙した。

高速道路の路側帯でしばし佇む。

「おい!お前!さっきまで、寒い寒い行ってたじゃないか!?  相棒を押して次のインターチェンジまで行けば体はあたたまるぞー!」
心の中の天使がささやく。

「おい!そのくそ重いバイクを引いて一体何キロ走る気だ? 路側帯においてある電話機を使って、道路公団の人にガソリンを 持ってきてもらえって。」
心の中の悪魔がささやく。

「そんなことしたら、職場の人にあいつは 燃料の計算も出来ない大うつけだ。ということがばれてしまうじゃないか!」
私はとまどう。

「大丈夫。お前は、いずれ、この事件をホームページに載せるんだろ? ばれるのは同じさ。しかも、一生に一度はあの電話を掛けてみたいって 前からいってたよなー。」(悪魔談)

「確かに、あの電話をめっちゃ掛けてみたけど、社会的制裁が大きそうで とてもそんなことは・・・」(筆者談)

「ばかもーん。男は気合いだ。たとえ次のサービスエリアまで何10kmあろうとも 相棒を引きずって路側帯を爆走だ。」(天使談)

「そんなことしたら、トンネルの中で暴走トラックに引っかけられて、 ミンチになっちまうぞ!しかも、高速道路でバイクを押して走っている奴がいるって 通報されたら、それこそ警察沙汰だぜ!」(悪魔談)

 かくして私は「男の道とはどの道なのかを選択する」状況判断へと引きづり込まれていった・・・







 天使と悪魔の格闘をよそに、私は大して迷いもせず、バイクを押して高速道路を駆け足することを選んだ。

 くそざむく、いまにも凍えそうな私は元気いっぱい走り出した。
みるみる体は暖かくなり、1Kmもすると、 汗だくです。
起伏の激しい中国道で250ccといえども
押して走るのはなかなか楽しいもので
上り坂の時は ヒーヒーいいました。
(服を5重に着込んでその上に革ジャンを着ていたので)
次第にあつくてたまらなくなりましたが、

「歩いたら負けだ!!」という意味不明なルールを作ってやせ我慢をしていました。

トンネルにさしかかると困ったことが・・




今までバイクを押していた路側帯がない!



 トンネルは車道の幅ぎりぎりで壁になっていた。これは危険だ。
他に手はないかと思い、周りを見渡すと1.5mほど上方に幅50cmほどの避難用?の歩道があった。 そこを通ってバイクを押していこうと思い、踏ん張ってバイクを上げようとするが・・ 血管がぶち切れるほど踏ん張ってもなかなか上がらない。 走り続けて若干足にきていたせいもあるが・・・ なんと!




踏ん張っている最中に、血管がプチッ バイクはバランスを崩して傾き、 そこから1mくらい落下!、 鈍い音と共に車道に横たわった!

ガッデム!
 後ろからタンクローリーが高速で突っ込んできて、私のバイクを発見。急ハンドルを切りそして横転。噴き出したガソリンが トンネル内で大爆発。トンネル火災。新聞の一面に、 「高速道路でバイクと駆け足」「犯人は昔からやってみたかったと供述」(0.1秒)
やばい見出しが脳裏を巡る。



後ろから車が来ないうちに早くバイクを撤収しなくては!!!

1m落下してバイクが壊れたかどうかなんかもはや眼中にない!

火事場のくそ力でバイクを起こし、安全地帯まで猛ダッシュ!

スタープラチナ並の動きでなんとか事態を復帰させた。

深夜の中国道とはいえ、まあまあの交通量で特に夜間移動を行うトラックは多い。 バイクの点検にかかり、異常の有無を確認する。 落ち方がよかったのか1m落下した割には案外大丈夫であった。 スタンド付近の部品破損と点火プラグの電気ケーブル切断、ミラーかち割れ、傷少々。 この程度ですんだ。(よかったよかった)




 私はトンネル内は危険なのでライトをつけながら一気に駆け抜けることにした。(おい。まだ進むのかよ)
私のすぐ隣を時速100キロでトラックたちがすり抜けていく。しかも、トンネルは長い!(乗車しながらいくのと駆け足でいくのは 大違い)ヒーヒーです。




 それでも1時間以上走り続けて既に、メロス状態。
もういったい何Km走ってきたのであろうか。3つ目のトンネルを越えたあたりで、 あることに気がつく。







「そういえばあれから一度も、 ○○サービスエリアまであと○○Kmという看板を見ていねえ!!」 これはショッキングな事実であった。

もう、下着はぐっちょりぬれていたし、足はがくがくいっていた。

さすがに、弱気。

っとその時に、駅が見えた!
高速バスの駅だ! 


駅ある>人いる>ガソリン買える> Happy!

と思ったのもつかの間、ここでもまたドラマは待っていた。
















回の日記からのつづきです。


 高速道路を何キロも駆け足で、バイクを押しながら爆走していた私はようやく一筋の光を見出した。


高速道路上にバスの駅がある!
これでガソリンが手に入る可能性があるぞ!
よく頑張ったな!
自分を激励

 高速バスの駅にバイクを停め、ドアから高速道路を降りるとそこには、まさに”集落”と呼ぶにふさわしい村が存在していた。 私の頭脳はフル回転し、「具体的に達成すべき目標」をはじき出した。


目標
「私は、この集落内において出来るだけ早くガソリンを入手する。」

状況判断は更に進み、我が行動方針の列挙に移った。

O-1: ガソリンスタンドを探し、ガソリンを購入

O-2: 民家のどなたかに頼み込み、ガソリンを分けていただく。

O-3: 地面を掘り起こし、原油を採掘、精製してガソリンを入手

O-4: のきさきのトラックからガソリンを拝借



 目標達成可能な4つの行動方針が列挙されたが、まず、O-4はそんなことは絶対にしないということで却下
 O-3は実行の可能性がきわめて薄いということで、もし石油を掘り当てたら大金持ちじゃないか!という葛藤もさることながら 却下
(0.1ミリ秒)

問題はO-1とO-2であった。

 まず、時間は深夜12時近い。この村にガソリンスタンドなんて洒落た建築物はなさそうだ。隣町まで最低数キロは見積もられる。 電気のついている家がほとんど無い。これらの様々な状況を加味して私はO-2を選択した。




しかし、もし、ガソリンを分けてもらったとしても、それを入れる容器がない!


ガッデム!
何か容器に使えそうな物が存在しないか周辺を捜索する。

ドラム缶?・・・・つかえねえッしかもさびてる。

落ちているスナック菓子の袋?・・・・チッ!穴が開いてやがる。

ティッシュ?・・・・これにガソリンをしみ込まして運んでって・・・何往復するんだ!

 なかなか良い物が落ちていない。ゴミ拾いをしていても埒があかないので、別の手を考える。ふと気づくとポケットから リプトンペットボトル500mmLが出てきた!



これしかねえ!
一気に飲み干し、準備OK。


そして私は何軒か見て回り、突入する家を決定した。
金持ちの風格を漂わせる家造り。
明かりがついている。
そして軽トラが止めてある。
もうこれ以上の条件はない!

深夜12時ということも気にせず、
満を持して突入開始!
ピンポーン
「申し訳ありません。高速道路でガス欠になり・・中略・・ガソリンを分けていただきたいのですが・・」

しばらくして暗闇の中からめんどくさそうに出てこられたお方は、










 見るからにヤクザ風の男だった・・・(汗













々回の日記からのつづきです。
 前回からとても間があいてしまいました(´¬`)


 ガソリンをいただくために夜の12時だというのにピンポーンピンポーンと民家におじゃまして、まったく、家で寝ていたのに訳もわからない奴が 訪ねてきて「ガソリンを分けてください」なんてのたまってきたら、やっかいですなー

「申し訳ありません。高速道路でガス欠になり・・中略・・ガソリンを分けていただきたいのですが・・」

そのお方は立派な髭ともんぺをお召しになり、私の説明とお願いを30秒ほどお聞きしてくださった後に、
「よくわかったけどおまえにやるガソリンはねえ。」とバッサリ切り捨てた。

 しかも、そのご主人、寝起きのご様子。

これ以上長居は無用。引き際を誤れば致命傷。触らぬ神にたたりなし。 (もう触ってしまったが・・)

こうしてガツンと渇を入れられた私は、別にくれなくても売ってくだされば高値で買うのに・・・とも思いながらも、 「そこを何とかッお代官様ぁ。」と頼むような雰囲気でないことを素早く察して、 「夜分遅く本当に申し訳ありませんでした。」となんべんも繰り返し、その家の敷居をまたいだ。
 ドアを閉める間際に、「そこの曲がり角にガソリンスタンドがあるからそこに頼みな。」と教えていただいた。 そこの曲がり角って??どこ?と思いつつお礼をいってそこを離れた。
 その家に入るときには気づかなかったが帰り際に見回すと門の作りや庭の作りはかなり格調高かった。



 それからその一帯を小一時間さまよい続け、ようやくガソリンスタンドらしきものを発見したが、常時閉店というかセルフサービスというか人がいない。
 高速道路に置いてきたバイクのことも心配になっていたので、夜分遅くではあるが手当たり次第に近くの家に突入し、ガソリンスタンドの使用について伺うことにした。 事情を話したら、とても優しいおじさんがそのスタンドのキーを持ってガソリンを分けてくださるとおっしゃる。私は助かったーと思った。



しかし、問題がッ。何度やっても鍵(南京錠)が開かずガソリンが出せない。
 5分くらいいろいろ試していたが、おじさんの話によると錆びついていて回らないらしい。ペンチを 探してくると言って倉庫に行った。

 私はそんなに錆びついているのかなぁと思い、その鍵を見てみると
なんと鍵が錠に逆に刺さっているじゃないか!おやじさん!焦りすぎやがな。いくら回してもまわらへんで これじゃまわらんよ。というかよく押し込んだなぁと思いつつ引っこ抜いて挿し直し回すとあっさり取れた。


  その後、ガソリンを500ml分けてもらい、迷惑料込みで1000円払いますと言ったが、時価の50円で手を打ち、「ガソリンってジュースよりやすいんだなぁ」 などと思いその町を後にした。 バイクを点検すると落とした衝撃で各部がゆがんでいたり点火プラグのケーブルがはずれていたりしたが踏ん張って前進を開始した。 全く、これからは余裕を持って給油しないとな。寒かった体が温まるそんな3時間を楽しく過ごし、そしてまた鳥取を目指しました。

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