天上天下唯我ドキュソん 殿堂入りおすすめネタ
電間際の横浜駅。
いろんな人がいる。
歌を歌っている人。
仕事帰りの人。
吐いている人。
うずくまっている人。
放心状態で道ばたに横たわっている人。

 夜中の都会をあまり経験したことのない私には新鮮に見えた。ホームでしばらく待つと、 特急が時間通りに滑り込んでくる。私の待っている目の前のドアが開くと、 既に事件は起こっていた。









 「てめえ!やるそ”ゴルァ!!」

男がサラリーマンの胸ぐらをつかんでもめている。

みんなはいやな顔をしながらも仕方なしに特急に乗り込んでいく。

車内は満員というほどではないが、ぼちぼち混雑していた。

男は激しく言い寄る。

「てめえ!おいこら!!」

顔を近づけ威嚇する。

とんだ車両を選んじまったなぁと思いつつも、 神が与えたこの瞬間、この状況において、自分はどのようなプレーヤーを 演じるべきか思考を巡らした・・・・・・









「おい!兄ちゃん!! 待ちな!俺が相手だ!」

男はサラリーマンから手を離し、

私に向かってナイフを向ける。

そしてのど元をブスリッ

ぴゅーぴゅー(血の吹き出る音)









となっては困るので却下。(0.1秒)











「そこまでだ!君には黙秘権があり、弁護士を雇う権利がある。」



自慢の柔術で間接を決め、

ネクタイを即座にはずし、

後ろに回した腕を縛り上げる。

周囲の乗客から拍手が喝采!






 しかし、取り押さえるほど悪いことをしては いなさそう。

しかも、柔術なんかやったことない。

さらに、確実に警察沙汰。

ついでに、今度こそナイフ出される確率高い。



よって却下。

(0.5秒+拍手喝采に1.0秒)







 ドアが開き、前の人たちが乗り込み、
私がその”ポイント”まで到達するのに
約8秒くらいであったが、
その間に、車内の人が仲裁を開始した。

 男性2人くらいで「まあまあ」というような
感じで男とサラリーマンを引き離し、
お互い近づかないように遠ざける。

 2人の距離は1.5mほど引き離された。

 男の方はむかつきが収まらないらしく、
サラリーマンの方を3秒に1度くらいの
間隔ではにらみ、ガンを飛ばして、舌打ちをする。
サラリーマンは無視して、狸寝入り。












なんだ?

おまえは結局何もしなかったのか?
 妄想だけはいっちょまえだがいざとなってもなんにもしてねえじゃねえか?ゴルァ!!












ということになりそうですが私がたどり着いた時にはもう離れていたのです。

 こんな私にも何か出来ることは無いかと思い、

 2人の間に割って入り、
互いの視線が合わないように ブロックしました。


一度収まりかけた喧嘩も視線が合って、再燃というケースはよくあるので 適切な処置だと思いました。

男は何度かこっちを見ましたが、











「いつまでもむかついてるんじゃねぇ!」と 言わんばかりの私の眼光で


彼は窓の外の夜景を楽しむようになりました。

それから約5分、次の駅で男は降りるようです。








しかし、




ドアが開いて私がその対角線上から少しはずれた瞬間に、

男はいきなり駆け寄り、再度、サラリーマンの胸ぐらを掴んで

「おめえ、なめてんとヤルゾ!オイ!」 などと言ってすぐに下車して出ていきました。最後の遠吠えってやつですね。

次の瞬間サラリーマンは




「そんなん言うんだったら、警察いってもいいんだぞ!いっしょに 警察行くか?」



やられっぱなしのサラリーマンも当然むかついています。

そこで私はサラリーマンの心を癒そうと、





「野郎はイカレてるから・・・」





 リーマンは私の一言に心が安らいだのか、

「そうですね。すいません。」

と言って、崩れたネクタイを直そうともせず、壁にもたれて目を瞑りました。



 そのサラリーマンは次の駅で降りましたが、降りる時に


「ありがとうございました。」

と言っていきました。


 たぶん私が2人の間に入って視線をブロックしていたのがありがたかったのでしょう。 そして、彼がイカレていると同調してもらえたことがうれしかったのでしょう。


 今日もまた、一人の人間の不快感を少しだけ和らげることが出来た。 そう思いながら、わずかに揺れる電車の中で 私も壁にもたれて目を瞑りました・・・・・・


今回の一押しリンク
MagMagVOWデジカメでぽん
コメント:一発ギャグ。街のおもしろ風景投稿ページ




HOME