み
なさんは、
「虫の死骸を2時間くらい絶え間なく、臭いまで漂ってきそうな目の前3cmの所に置いて、
観察し続けたこと」 がありますか?
まあ、普通の人ならしないだろうし、2時間もそんなことやっている
暇はねえ!という感じでしょう。
そんなことはファーブルにでも任しておいて、自分は時間をもっと
意義深く使う! しかも、もし観察するにしても顕微鏡などを使って何かの研究などをするのであって、
ただ単にぼーと2時間も眺めているようなことはしねぇ!!
という方がほとんどだと、いや、全員そうでしょう。
私もつい先日まではそう信じていて、疑う余地はいっさいありませんでした。というかむしろ、
そんなことを考えたことすらなかったのですが・・・
思い切って やってみました。
ッというよりも、偶然だったんです。悪気もなかったんです。
虫を殺したくて殺したわけでは無いんです。彼らのほうから迫ってきたのです。
私のヘルメットに。
バイクで高速道路を走っていたら、蟲の大群の中を通過して、
相対速度時速約100kmくらいで突っ込んできたのです。
バチッ バチッ バチブチュウブチャ (合掌と同時に泣)
ヘルメットのフェイスガードにはつぶれた彼らの亡骸がこびり付き、走れば走るほどに風を受けて、乾き、そして、定着します。
フロントライトなどにもいっぱいくっついていました。
私の白い服には赤や、茶色、黒、緑と半練り状(半乾き)の物質
がこびり付いていました。
走行中、次の給油所まで、約2時間、血塗られたヘルメット越しに
前方を注視し、目の焦点を近くに合わせないようにがんばりながら次の休憩地点を求めて、
(強制的にその空気を吸わされながら)走り続けました。
サービスエリアにておしぼりで一生懸命拭き取りますがなかなか落ちません。
それはもはや彼らの怨念、自縛霊の一種のようでした。
そして、拭きながらあることを想像しました。
このように泣きそうになりながら同じように蟲どもを弔っている
女性ライダーを・・
女性ライダーは細くて小さな体ながらも
大の男も戸惑うような大型バイクにまたがり、
エンジンを吹かす。
ヴォンヴォン ドッドッドッドッドッ。
この音はHARLEY-DAVIDSON しかも、FLSTF FAT BOY(1449cc)ホワイトボディー。
ブーツからジャケットまで白を基調として 洗練された完璧なシルエット。
アメリカンバイクの王道ハーレーを乗りこなす渋さ、魅惑の象徴。
ちょっと話しかけようと思い、近づくと、
なにやら異臭が。
それは、ファンキーな香りをかもし出し、 ほのかに亀虫テイストな極上品。
そして、ヘッドライトの光がわずかにくすんでいる。
そして次の瞬間、こちらを振り向いた彼女のヘルメットには!!
無数の蟲たちがこびり付いている!!
しかも、アクセサリーかと思われた胸元の模様は 奴らの死骸だった。
被弾傾斜角を計算され設計されたヘルメットが、外敵の進入を防ぎ、誇らしげに戦果を誇示している様にも見える。
そして、だれに助けを借りるわけでもなく黙々とそれらを除去し、拭き取る姿!!
もはや、無敵と思われた女性ライダーにも我々の知らないところで、そんな苦労があったのですねぇ〜〜〜
そして、ヘルメットの規格と道路交通法に脱帽したのでしたのでした。(250cc以上のバイク用のヘルメットには
大概、フェイスガードが付いている。(取り外しタイプもあるが)自動車道などは原チャリなどでは
走行できない。)
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